the Last Queen of Hapi
ハピの巫女姫
超古代、失われた大陸「ムウ」。部族民の村で育った少女セイレンは、数奇な縁から麗容を誇る大国ハピの巫女姫となり、美貌の王と聖婚儀礼 に立つ。
女神の性と聖の具現として人々に愛されるが、平和な日々は続かず、歴史は大きくうねり始める。
愛と悲しみ、宿命に翻弄されなが ら、大陸の終焉に立ち向かうセイレン。多くの登場人物と、耽美な恋愛風景に彩られた壮大な無国籍歴史幻想。2003-2004年執筆。
超古代、人として生きていた女神の記憶。
日本女性に流れる女神のDNA。ムウから日本列島へ。
この作品の執筆のきっかけは、日本の母神的な存在である或る女神のルーツについて、20年以上前、1990年代前半、二十歳のころに、大 和路めぐりをしていた私に降ってきた、宇宙からのインスピレーションが下地になっています。女神がアセンドして女神となる前に、人として 生きていた、その過去生を作品にしたいという気持ちが、突然に芽生えたと同時に、様々な場面が自然と浮かんで来ました。
当時はメモを取り、習作ていどに短いものを書き付けておくのが精一杯で、実際に「ハピ」の執筆に入るのはそれから十年後の30才の時。そ の間に私は母親になり、離婚を経験しました。まさに「ハピ」のヒロインと同じように、人生の中での重要な変容期を体験しなくてはならなか った。
夢を持つ高揚感、それが破れる挫折感、繊細ゆえに命を断った人との出会いと別れ、自分自身が鬱に落ちていく虚脱感・・・僅かな光が指す方 向へと手を伸ばし、立ち上がり、本当の自分の生き方を見つける・・そんな悟りを経験したのでした。それを経てようやく、この作品に取りか かる準備が出来たのだと今では思います。
構想のいきさつから「ハピの巫女姫」は、「全ての日本女性に捧げる」ものであると感じています。全ての日本女性に、この女神のDNAが存在 していると思うから。けれども深く難しく考えずに、どなたが読んでも、スピリチュアルな知識がなくとも、純粋にストーリーを楽しめる人間 ドラマになっています。ヒロインと共に様々な心象風景を体験するような気持ちで、楽しんで頂ければ幸いです。